10月の夜
10月の夜は 僕の肌に噛み付いて
夜の向こうで オリオン座が叫んでる
土のにおいが のどの奥に染み渡る
黒に塗られた キャンバスを切り裂いていく
遠くで聞こえた 軽自動車の唸り声
僕に向けられたようで すこし怯える
光は長い旅を終えて
僕の中に還っていく
その旅人を僕はおざなりに
一瞬で投げ捨てるよに
僕は 僕は 忘れていく
空にはたくさんの旅人たちが
僕の網膜に張り付いていく
それでも 君たちを 覚えてられない
それでも 僕は 綺麗だと呟いた
ひとつだけ覚えてる星座をなぞろうとして
それが どこにあるのかわからない
10月の夜は 僕の肌に噛み付いて
夜の向こうで オリオン座が叫んでる