一足す一足す一

幸せはそう遠くはない きっと夢見心地で待ってんだ
俺の行く先契機として しれっとバス停で本を読んで

不幸すら一斉の声って じっと俺の首狙ってんのさ
自由など許しゃしねえぜ なんて目をして粋がってんのさ

 どうぞ 好きにすればいい 転んだってどうせ俺のせいさ
 そうだ 笑っちまえば こっちのもんだ 何だってそうだ

  一足す一足す一は三 決して二でも四でもありゃしない
  俺に不幸を足したとして そいつは俺から減ったもんじゃない
  
 嗚呼 ご自由に 嗚呼 ご自由に 嗚呼 ご自由に


舌打ちの合図聞き取って カラスがゴミ袋つつき出した
生ゴミの腐臭俺に似て 思わず嗚咽を漏らしちまった

生憎体調不良にて 当日のバイトキャンセルにして
つまり自分勝手な行動だ 笑うも怒るも泣くも殴るも

 どうぞ 好きにすればいい 開き直ってなんぼの世界だ
 どうだ こんな俺だ それでも俺を 見てくれんのか

  一足す一足す一は三 持論売っ払ったって増えるだけ
  精々足掻いてみるがいい 俺が醜く朽ち果て行くまで
  安寧及び不穏の和 それが十二分に満ち行くまで
  一足す一足す一は三 減退すら荷物になっていく

   不幸は積み重なって 俺の今になっていく
   幸せも重なり合って 俺の今になっていく
   足していく 足していく 足していく 足していく
   足していく 足していく 足していく 足していく

  一足す一足す一は三 三足す一足す一は五
  五足す一足す一は七 七足す一足す一は九
  九足す一足す一は十一 命を数えろ

  一足す一足す一は三 手に入れるべき一を手に入れろ
  一足す一足す一は三 つまらねえ一だって確かな一
  生命及びその終わり そしてその先の和で以って
  俺の一足す一を終えるとし それを幸せの一字に顕そう